クーポン共同購入サイトのセールストーク

クーポン共同購入サイトの営業が、うちの顧客に激しく売り込みをかけてくるそうです。
比較サイトをみてみるとすごくたくさんあるようです。

まあ、グルーポンさんが上陸してくるわ、大手は参入してくるわで、なんだかとても賑やかですが、クーポンの価格を見て疑問に思うことがあります。それは、こうしたクーポン共同購入サイトの割引率がいずれも50%以上というところです。こんなに割引して大丈夫なんでしょうか?そもそも5割引以上することにどんな意味があるのでしょうか?

クーポン共同購入サイトの営業の方のお話はこうです。
「開店して、お客が誰も来ないよりは、とにかく来てもらったほうがいいはず。だったら原価ギリギリにまで安くして、薄利でも売上を上げませんか」

日持ちしないナマモノを出しているお店の場合、ゴミとして捨てるくらいなら、捨て値で売ったほうがいいのでしょうけど、いまはどこも冷凍が当たり前。必要な分なだけ解凍するので、いつ来るか分からないお客さん相手に安くしなければならない理由が分かりません。そもそも「固定費もかかっているので何でもいから売上を」みたいなその場しのぎの戦略なら先は見えています。ある程度先を見通した上で利用を考えるべきです。

「いわば宣伝費とお考えください。クーポンを利用して味を覚えてもらい、リピーターとして来店してもらえるようになればいいのです」

仮にクーポンで来てもらったとして、次2倍以上のお金を払うでしょうか?お客様から2倍の金額をいただくことがどれほど難しいことか。たとえばラーメンの原価は120〜170円くらいだそうですが、そもそもそこうした利益率が高くファーストフード感覚のもののはまだいいんです。ところが3,000円とか5.000円のメニューとなると話が別です。こんなことをしていればいずれクーポンの金額が常態化し、経営が立ち行かなくなることは明白です。結局いい思いをするのはクーポン共同購入サイトだけという気がしてきます。

そこでクーポン共同購入サイトを改めて見てみて「おや?」と気付きました。たしかに中には激安のメニューもありますが、多くは割引後の価格がそれほど安く感じないのです。そこでクーポン共同購入サイトの営業に、もともとはじめの価格を高く設定したメニューを作って、それをクーポンで販売しているんじゃないかと尋ねてみました。

「それはありません。新しくメニューをつくるのではなく、通常メニューの50%以上の割引でないと受け付けません」

なるほど、しかし「通常メニュー」の定義が曖昧です。それはお店のメニューにあればよかったり、 飲食店情報サイトにメニューが掲載してあればいいようです。それなら注文されないことを承知でわざわざ高額なメニューを作り、それを50%以上割引けば成立するのではないでしょうか。もちろん、クーポン共同購入サイトに参加されているお店が、みんなそういうことをやっていると言うつもりはないですが、やろうと思えばできることは確かです。

家電とか価格が分かりやすいものは別としてが、食品関連は素人にはほとんど分かりません。何が安くて何が高いのか、派手な割引率ではなく、支払う金額が相場からみて本当にお得なのか。これを見分けるのはかなり難しい。というわけで君子危うきには近寄らず。自分としてはいまクーポン共同購入サイトを利用するつもりはないですね。

※「GROUPON」を日本で運営するグルーポン・ジャパンは2020年9月28日、日本市場から撤退すると発表した。