IT各社の対応状況

最近の米国巨大IT企業の動向を見てみると、垂直統合したITプラットフォームづくりに向けて動き出しているのは明らかだ。どの企業も自前のデバイスを用意し、自前のインフラを整備して市場で有利な戦いを進めようと着々と準備している。

※表の◎や◯、△は当該企業(他者との比較ではなく)の中での進捗を表す

各企業それぞれに独自の強みを持っているが、現時点であらゆる項目を網羅しているのはGoogleだ。GoogleはNexusブランドを立ちあげて本格的にデバイスの販売に乗り出したことで垂直統合はかなり加速しそうだ。ただGoogle+によるSNSへの進出はFacebookの好調さに比べると難航しているに見えるし、買収したAndroid OSもアプリの開発環境ユーザエクスペリエンスなどiOSに遅れているところが多く、いずれOSがネックになるのではないかと考えられる。

一方デバイスでリードするAppleだが、検索やソーシャルメディアへは進出していない。検索やソーシャルメディアは大きな広告収入を得られる分野だが、すべてのピースを集める必要はないと考えているフシがある。AppleにはiAdというアプリケーション内に広告を表示するプラットフォームがあるが、どうやら絶不調とのうわさで、立て直しに時間がかかりそうな気配。ならば「君子危うきには近寄らず」という事かもしれない。潤沢な資金があるので買収でピースを埋める可能性もなくはないので、注意が必要だ。

Microsoftは、PCからゲーム機、OSやアプリ、サーバやインフラまで幅広いが、現状イマイチな雰囲気が漂う。何にでも手を出しているがどれも大きく成功していない。やはりOSを含めたデバイスの魅力に乏しいことがすべてだ。新しいソーシャル・ネットワーク「So.Cl」はWindows liveBingとも連携していて、メディアとして化ける可能性を秘めてはいるが、トップが総取りする世界ということを考えあわせれば、Facebookに勝利するまでに成長するか疑問だ。

SNSで他を圧倒するFacebookだが、再びスマートフォン開発に乗り出したのではないかという噂があるので一応デバイスは△とした。またインフラの部分では9億人と言われるユーザを支える以上の余裕はなさそうなので◯にし、検索サービスはYahooとの連携が進展しているようなのでこれも△とした。表を見るとまだまだ空いている部分目立つが、桁外れに多くのユーザを抱えるSNSを運営しているというだけで事業展開、マネタイズの面で非常に大きなアドバンテージがある。

最後にAmazonは電子書籍端末Kindleこそあるものの、巨大ショッピングサイトの運営が主で、ここをはたしてIT企業と呼べるのかという向きもあるだろう。しかしインターネット上に飛び交う多くがショッピングの情報であることを考えれば、数多くの顧客を抱えるAmazonの存在は見逃せない。カカクコムばりにSNSを持つか、連携すれば大化けするのは必至。しかもAmazonには世界一強力で低価格の仮想サーバAmazon EC2があることもアドバンテージとなりうる。ダークホース的存在といったところだろう。

さてこのプラットフォーム争いに参加するようなその他の企業はないのだろうか。たとえばモバイルデバイスを数多く生産するサムソンや、NTT docomo、あるいはパナソニックソニーといった企業にそのチャンスはあるのだろうか。結論から言えばそれはない。まずは参加する意思がない。いずれの企業も、ものづくりのみを意識していて、どこのプラットフォームに参加するのかということ以外は考えていないように見受ける。それではパソコンと同様に低価格化して採算が取れず、IBMのパソコンがLenovoになったように、いずれ事業を売却するか撤退するかの選択となることは明らかだ。大きさが違いすぎるといえばそれまでだが、もっと果敢にチャレンジする企業があってもよいのではないだろうか。

【追記】
ザッカーバーグ氏は「Facebookが携帯電話を作ってもあまり意味がない」「われわれがAppleをサポートし、同社と緊密に協力し合っている理由はまさにそこにある」と語った。CNET(2012年7月27日)

NTTドコモは2013年中に新OS Tizen  OS(タイゼン)搭載のスマートフォンを販売すると発表した。(2013年1月)

スマホ用新OS(第3のOS)にはサムソン、インテルが開発を進めるTizenのほか、KDDIが導入を進めるMozilla開発のFirefox OSがある。

Apple、Google、Facebook、Amazon、4社の買収戦略や財務状況、組織論をインフォグラフィックとしてまとめた書籍が販売されるそうです。マイクロソフトがないのが寂しいですが、それも時代の流れでしょうか。(2015年6月)

マイクロソフトは、現行のスマートフォンの製造販売を見直し、実質的に打ち切る模様です。今後はスマートフォンを後追いするのではなく、新たなモバイル端末の開発(ウェアラブルデバイス?)を行うそうです。(2015年7月)