SIMロック解除をめぐる、おかしなソフトバンクの主張

ソフトバンクモバイルの取締役副社長 松本徹三氏はブログの中などで、SIMロックの議論は間違いだとしている。

その主張は以下の通りだ。

『現在の携帯電話ビジネスは(中略)「端末」、「サービス」、「通信回線」の三つが、「三位一体」となってユーザーの為の価値を創出している』『三つの機能を統合できる立場にあるため、合理化を極限まで進める』のであり、「SIMロック」は、『「三位一体」を実現する為の重要なファクターの一つ』。「三位一体」でないと『機能がうまく動かなかったり、コストが上昇したりするデメリットの方が結局多く』なる。

そしてSIMロックの解除を強制すれば、以下の不都合が生じるとしている

(1)端末にキャリアごとの動作保障テストが必要となり、端末が高価になる
(2)キャリアを変えると、使えなくなる機能が出てきて、販売現場が混乱する
(3)流入する端末に対して、回線の負荷を分散させる対策をキャリア側が用意しなければならない
(4)販売奨励金モデルが成り立たなくなり、毎月の料金が高くなる
(5)犯罪者がただ同然で手に入れた端末を不正に売りさばく事案が増える

しかし、本来キャリアと端末は切り離すべきで、キャリアと端末の抱き合わせ販売をやめさせるのは正しいと考える。

松本徹三氏の主張する不都合だが

(1)については、逆にどのキャリアのユーザにも受け入れられる端末であれば、量産効果が期待できるので、必ずしも高価になるとは言い切れない。

(2)は、まさにガラパゴス化に起因するもの。本来機能それ自体はキャリアとは関係がない。搭載されるOS(プラットフォーム)ごとに標準化がすすめば、アプリケーションの開発によってやがて解消していくはず。

(3)たしかに回線負荷の急上昇は問題だが、現状において負荷のマージンがないわけではない。それをもって抱き合わせ販売の根拠とするのはおかしい。むしろ切り離すことで、キャリアがどういう品質の回線をいくらで提供するかが明らかになる。

(4)販売奨励金は通信料に上乗せしているので、見かけ安く見えているだけ。キャリアと端末を切り離せば、もっと通信料は安くなる=提供される品質にあった料金設定がなされる。現状は接続品質に対して料金が割高ではないか。

(5)は、そもそも(4)の販売奨励金モデルがあるからこそ、端末を不正に売りさばかれるのでは。適正な価格で販売すればそうした懸念は払拭される。

したがって「三位一体」であることは、ユーザのための価値を創出していることにはならないと思う。